木工のまち 鹿沼
今から約350年ほど前の江戸時代、日光東照宮は大規模な
建て替え工事が何年にもわたり続きました。
鹿沼宿(現栃木県鹿沼市)では、その頃材木の下準備、
下ごしらえなど大量の材木の中継地として栄えたのです。
多くの人々が移り住み、その中には全国から集められた優秀な匠たちもいました。
その卓越した職人たちの技術はこの地に根付き、やがて鹿沼宿は優れた木材、木工製品の産地として名を馳せることになったのです。
今でもその技術を継承し、木のまち鹿沼を象徴するのが彫刻屋台であり、鹿沼組子などの技法を取り入れた建具製品の製造がされてます。
鹿沼組子
鹿沼組子は、釘や金具などをいっさい使わず、何千もの部品に切り込みをいれて手作業で組んでいきます。
その正確な組み込みは、熟練の組子職人だけが成せる貴重な伝統技術です。
現在鹿沼組子の施された製品は、「栃木県伝統工芸品」、鹿沼市からは「かぬまブランド」の指定を受けています。
世界中でクール・ジャパンと称され、日本の文化や技術、製品が注目を浴びるなか、鹿沼組子も日本の技術を象徴する伝統工芸品として注目されつつあります。
鹿沼組子は、これまで欄間、書品障子などに用いられ、和室を飾る最高の贅沢品とされてきました。
麻の葉模様
日本の麻の生産は、現在ではそのほとんどが鹿沼市の北西部でされています。
麻は縄文時代から織物や縄などに使われていました。
3ヶ月で2メートル以上も伸びる麻は、その繊維が強いことから「スクスクとまっすぐに、強く育ってほしい」と願う親の気持ちを込めて、生まれてきた赤ん坊の産着には麻の葉模様の付いたものを着せる風習がありました。
麻は神聖な植物とされ、「魔を除ける呪力がある」と言われています。
桟に切り込みをいれ、三本の桟を平に組み合わせて三角形の幾何学模様を作ります。
三角形の中に手作業でより細い桟を加工して組み込み、麻の葉模様を作ります。
とても繊細で、神経を使う作業を経て、麻の葉模様ができるのです。